Written By: 遠野秋彦
二人の男が言い争っていた。
「コーヒーはブルマン」
「いいや、キリマンだね。キリマンジャロこそ至高」
「なんだと! ブルマンなめるな!」
「そっちこそキリマンなめるな!」
オレは間に入った。
「まあまあ。そんなことで争うこともないでしょう」
「そんなこととはなんだ」と二人は叫んだ。
「じゃあブルマンとキリマンの間を取って結論はブルマンジャロってことで」
「そんなコーヒーはないジャロ~」
オレはつまみ出された。
負けたのはオレだった。
(遠野秋彦・作 ©2024 TOHNO, Akihiko)